
使命と価値基準
世界の一流のスポーツグループであることが私たちの使命です。社会的および環境的な視点から見 た「一流」とは、弊社と弊社のサプライ・チェーンが一貫して社会に対する責任を持ち、安全と環境に配
慮すると同時に、ブランドの価値を高めていくことを意味します。そのために私たちは次のような努力をしています:
- 消費者や製品生産に関わる人々に対し、企業としての理想の追求を約束する
- 企業のイメージや名声を揺るぎないものにする
- サプライ・チェーンの効率化を図る
- スポーツの長期的な未来を開拓する
本物であること、創造的である事、誠実さ、コミットメントという弊社のブランドの価値基準は、スポーツに由来しています。これらは、私たちの業務提携の基準、つまり弊社のサプライヤーの工場を、安全で公正な職場にするための行動規範の土台を形作っているものです。サプライヤーの行動に対して、私たちが目指している究極的な目標は、彼らが「自主管理」システムを構築することです。これは、最終的には、外部からadidasなど顧客によって規制されるのではなく、サプライヤー自身が国内外の社会や環境の基準に合った独自のシステムを展開していくということです。
持続可能性の原則
私たちが掲げる持続可能性の原則は、社会や環境における活動の基準を設定するのに大きな役割を果たし、国際商業会議所(ICC)の理念とも通じるものです。この原則は以下のように定められています。
法の順守
私たちは、社会や環境に関連した法律、指針、ガイドラインを順守しながら、持続可能な社会への貢献を続けます。
経営
私たちは、以下のことを管理目標としています。
- 設計および開発段階にある新製品、新技術、新プロセスが社会や環境にもたらす影響を分析、評価、評定する
- 明確な目標を設定し、行動計画を策定、進展を監視する
- これらの結果を公表する
サプライヤーおよび顧客との関係
私たちは、サプライヤーの行動が弊社の業務提携の基準を満たすという前提で、彼らと協力し労働条件の向上に努めます。また、顧客に対しても、彼らの活動が社会や環境に及ぼす影響に前向きな姿勢で取り組むよう促します。
支援
私たちは、社会や環境に関するプロジェクトを支援し、持続可能な社会のために直接または間接的に貢献する企業や組織との協調関係を深めます。
投資家との対話
私たちは、信頼と尊重に満ちた雰囲気の中で全ての投資家と対話することを目指し、グループの社会や環境に関する活動について適切な情報を定期的に提供します。
「社会環境事業」についてのポリシー
サプライヤーの工場基準の改善
弊社の行動規範である業務提携の基準(SOE: Standards of Engagement)にまとめられているように、adidasは、基本的労働基準を尊重することに最大の努力を払っています。SOEは、国際労働機関(ILO: International Labour Organisation)の慣例と、世界スポーツ用品産業連盟の模範的な行動規範をもとに作られています。
これらの基準は、サプライヤーの工場に求められる労働、厚生、安全、環境についての要件を整えると同時に、弊社の国際的な工場監視プログラムの基本原理にもなっています。
SOE専門チームの組織化
SOEプログラムは、現在29人で構成された内部監視チームによって実施されています。これらメンバーの出身地は13カ国、その経歴も様々な分野に及び、生産・部品外注、化学、労働法、製造・環境管理、非政府組織など多彩です。メンバーは、アジア、アメリカ、ヨーロッパの各地域を担当する3チームに組織されています。可能であれば、現地に駐在するその国の規制に精通した検査官が参加する場合もあります。このような仕組みによって、私たちは労働・管理両者とより効果的なコミュニケーションをとることができるのです。
SOEチームの主な役割は、工場の現状を監視するだけでなく、継続的に労働条件を改善していくために、ビジネスパートナーを支え、指導する仕事も含まれます。これは、サプライ・チェーンが社会的、環境的、経済的に成長してゆく上で、サプライヤーとのオープンで責任ある協調関係が基礎となるという弊社の信念を明確に象徴しています。
最新トピック
このたび、新しい調査結果や主要な組織団体およびサプライヤーからの意見も取り入れた、「業務提携の基準」の最新版が発行されました。この中では、私たちの目標およびガイドラインがより明確に定義づけられています。
2000年のSOE専門チーム結成以来、チームが指導する工場のモニタリングやトレーニング講座は著しく増加しました。私たちの国際ビジネスパートナーとなっている工場のほとんどが訪問調査を受け、より一層の改善に向けた行動計画作りが、工場の管理者を交えて進められてきました。重大な非準拠が見つかり、しかも管理側が協力を拒絶するといった稀な事態が発生した場合、取引関係は解消されましたが、このような措置は最終手段であり、adidasは協力関係を維持し、工場の改善を内部から支援し続けたいと願っています。
adidasは、職場の基準を改善し、工場運営による環境への影響を最小限に抑えるため、幅広い分野の諸団体との協調関係を積極的に推進しています。例えば、ベトナムでは、靴工場の厚生と安全を改善するプロジェクトで、サプライヤー、労働組合、政府および非政府団体と共に取り組みを行っています。このプロジェクトは、プリンスオヴウェールズ・ビジネス・リーダーズ・フォーラムがまとめ役となっています。さらに、バイエルン州環境省と協力して、繊維・衣料品業界における環境的活動の改善策を提案した手引書の作成も行いました。
社外機関による監視
社外機関による工場の検査は、adidas監視システムの中心的な活動です。2000年には、外部監査機関のVeriteが、弊社の内部監査でまとめられた結果を継続監視し、工場の現状を評定しています。現在、私たちは、企業、人権グループ、大学で構成された非政府組織で、外部監視の調査報告を検証する公正労働協会(FLA)の理事会メンバーとなっており、2001年には社外機関による、より広範な監視を実施する予定です。
持続可能性に照準を合わせて
社会環境問題に対するadidasの取り組みや実績は、ダウ・ジョーンズ・サステイナビリティ・グループ・インデックス(DJSGI)でも認められてきました。DJSGIは、ダウ・ジョーンズ・グローバル・インデックスに基づき、持続可能性を推進する企業に焦点を当てた最初の指数であり、地球規模で持続可能性を計測する唯一の指数でもあります。DJSGIは全ての市場部門および産業グループを対象としています。DJSGIに取り上げられる企業は、社会、環境、経済問題で業界のリーダーと見なされています。
2000年の年度評価で、DJSGは、社会、環境、財政面でadidasの業績を分析し、持続可能性問題の分野での産業リーダーであるとの結論を出しました。特に、弊社の製品供給工場において社会環境条件が著しく改善された点について評価しています。
業務提携の基準
本物であること 創造的である事 コミットメント 誠実さ
これらはadidasブランドとしての企業理念です。私たちはこのような価値観で自らを評価し、同様にビジネスパートナーを評価します。
これらブランドの価値観を損なわぬよう、私たちは、契約業者、下請け業者、サプライヤーなどパートナーに対しても、ビジネスの全ての局面において最大限の公正、誠実、責任を念頭に行動するよう期待します。
弊社では、弊社の経営方針や価値観に基づいた職場基準やビジネス習慣を順守するパートナーを常に求めており、この業務提携基準は、ビジネスパートナーの選択や契約更新の際に有効なものさしとなります。また、これらは、一連の指導方針として潜在的な問題の特定を可能にするため、懸念される問題が発生した際に、私たちはビジネスパートナーと共にそれらの問題に取り組むことができます。ビジネスパートナーは、工場の労働条件を継続的に改善するため行動計画を策定し実行します。そして、これら計画に対し示される実績は、ビジネスパートナー自身、私たちの内部監視チームそして外部の独立検査機関によって検証されます。
具体的に、ビジネスパートナーに対しては、以下に示す基準および慣行が厳守される仕事の場を提供するよう期待します:
I. 一般原則
ビジネスパートナーは、それぞれのビジネス行動に関連した全法律要件を落ち度なく順法するものとする。
II.
雇用基準
我々は、賃金、手当て、労働条件について雇人を公正かつ合法的に処遇するパートナーとのみビジネスを行う。この件については、特に次のガイドラインが適用される:
強制労働:
ビジネスパートナーは、その形体が囚人労働、年季労働、奴隷労働であるか否かに関わらず、強制労働を行ってはならない。いかなる雇人も、何らかの強制または脅迫による労働を強いられてはならない。
児童労働: ビジネスパートナーは、15歳以下の子供または義務教育終了が15歳以上の国ではその年齢に満たない子供を就労させてはならない。
差別: 我々は文化的特異性を容認し尊重する一方で、労働者の雇用は個人的性質や思想ではなく仕事の能力に基づき決定すべきであると考える。我々はこのような価値観を共有し、人種、国籍、性別、宗教、年齢、身体的障害、配偶関係、所属団体、性的志向性、政治的見解等を理由に採用や雇用の際に待遇差別を行わないビジネスパートナーを求める。
賃金および手当て:
ビジネスパートナーは、賃金が雇人の根源的ニーズそして裁量的支払いを満足させるため必要不可欠であることを認識しなければならない。いかなる場合も、賃金は最低基準か業界で一般的と見なされる賃金のどちらか高い方の金額と等価またはそれ以上を支給し、さらに法的に義務付けられた手当ての支給も行わなければならない。賃金は現金か小切手またはそれを代替する手段で雇人に直接支払い、賃金に関する情報は雇人が理解できる様式で提供しなければならない。貸付金や賃金からの控除は入念に監査し、法に準拠した方法を採用すること。
通常の労働時間に対し支払われる報酬以外に、雇人には当該国で法的に義務付けられている割増率で、またかかる法律が定められていない国では通常の時間給を上回る割合で残業手当が支給されなければならない。
労働時間: 特別な場合を除き、雇人には、残業時間を含め1週間に60時間以上、または当該国の法律要件で定められている労働時間のどちらか少ない時間を超える労働を課してはならない。雇人には7日以内に連続して24時間の休日が認められ、年1度の有給休暇を与えるものとする。
組合活動と団体交渉の自由:
ビジネスパートナーは、労働者が個々に選択した組合への加入や組織結成、団体交渉の権利を認めこれを尊重しなければならない。特に、組合活動および団体交渉の自由の権利が法律で制限されている場合、雇用者は自主的で自由な組合活動および交渉に代わる合法的手段を妨害してはならない。いかなる場合も、雇用者には雇人とのコミュニケーションを円滑にするシステムの構築が求められる。
規律ある行動.
全ての雇人は敬意と尊厳をもって処遇され、何人をも、肉体的、性的、精神的、言葉による嫌がらせや虐待の対象にしてはならない。
III. 厚生と安全
仕事場は安全で衛生的な環境を保ち、作業中または雇用者の施設稼動により発生する事故やけがを未然に防ぐ業務上の厚生および安全習慣を促進する。この中には、火災、事故、有毒物質からの保護も含まれる。照明、暖房、換気システムは適度に整備され、雇人には何時も清潔な衛生設備の使用が許可されるものとする。工場は労働者にも明快な安全と厚生のポリシーを備え、これらは雇用者が提供する雇人の住居施設にも適用されなければならない。
IV.
環境要件
ビジネスパートナーは、それ自身の業務のみならず、他のパートナーやサプライヤー、下請け業者との業務においても、環境行動の漸進的改善に努めなければならない。この中には、ビジネスの意思決定に持続可能性の理念を取り入れる、天然資源の責任ある利用、衛生的な生産活動および汚染防止策の採用、持続可能性の理念に基づいた製品、素材、技術の設計や開発も含まれている。
V. コミュニティとの関り合い
我々は、事業が運営されている国内およびコミュニティの現状を改善すべく尽力するビジネスパートナーを歓迎する。
SOEチーム
業務提携の基準(Standards of Engagement:以下SOEと表記)は、単に文書化された基準の一覧ではありません。
29人で構成されるSOEチームは、この基準を実施し、実現させます。
世界中の様々な国から製品が供給されるため、私たちのネットワークは、アジア(中国、香港、インドネシア、マレーシア、シンガポール、台湾、タイ、ベトナム)、ヨーロッパ(ドイツ、トルコ)、アメリカ(エルサルバドル、USA)にまで広がっています。社会環境事業部のグローバル・ディレクターがこのチームを率い、弊社の一般評議会に報告書を提出します。
チームは、労働法、防火、厚生、安全および環境問題等の専門家から構成されています。メンバーは十分な研修・教育を受けており、また、本業界にとどまらずさまざまな分野で経験を積んでいます。チームは監視者として工場検査を行うだけでなく、ビジネスパートナーが労働内容や職場、工場内の環境条件などを恒常的に改善する際に、具体的なアドバイスや支援、研修を提供する目的で組織されました。SOEチームの仕事は、サプライヤーとの誠実で責任のある協調関係が、サプライ・チェーンにおける環境、社会、経済的利益の基盤であるとする弊社の信念を明確に象徴しています。
チームは、サプライヤーの工場全てが高い水準のSOEを維持するよう、指導の責任を担う現地事務所や世界中の外注業者と連携し、雇用、厚生、安全、環境面で絶えず改善を進めることによって、adidas製品の製造に携わる人々の生活向上を目指しています。
基準とガイドライン
SOEを理解しやすく実用的にするために、私たちは2000年4月にHSEガイドラインを取り入れたサプライヤー向けのマニュアルを作成しました。このガイドラインは私たちが1995年から実施してきた包括的なHSE検査の成果をまとめたものです。マニュアルは私たちがサプライヤーと共同で作業を進める上で助力となり、これによってその職場で発生する問題の解決策を見出すことができます。2001年の中頃までには、環境管理についての詳細な項目がマニュアルに追加されます。マニュアルについての詳しい情報は、「文献および他サイトへのリンク」の章を参照して下さい。
また、2001年には労働問題に関するマニュアルにも着手する予定です。私たちが実施している工場訪問調査に基づき、これら2種類のマニュアルには、容認不可、基準適合、最適な慣行について事例調査が含まれ、サプライヤーが私たちの基準をどのように適用させるべきかの参考になります。
共同作業 いかなる企業も、孤立状態で存在することはできません。企業を経営する上で、その業績に対して既得権を持つ組織、グループ、個人との関係を保ち、情報を提供することは欠かすことのできない要素です。全ての投資家との定期的に話し合いを通じて、私たちはそのニーズに応じるための最善策を見出すことができるのです。私たちは、信頼できるビジネス関係を構築するため、顧客、サプライヤー、株主、スタッフを含む関係者と常に密接に仕事を進めてきました。NGOとの協力関係はますます深まり、そのため私たちのビジネス運営方法に対し彼らが指摘する問題に一丸となって取り組むことができます。
協調関係の具体例 持続可能な開発のための世界ビジネス協議会
持続可能な開発のための世界ビジネス協議会(WBCSD)へのadidasのメンバーシップ取得は2000年に承認され、2001年1月から有効になりました。協議会は持続可能な開発に関与する国際企業約150社の連合体です。WBCSDは、環境や持続可能な開発に関心を持つビジネス、政府、その他団体同士の緊密な協力体制を確立し、ビジネスに高水準の環境管理を導入するのが狙いです。協議会を通じて、私たちは他の企業や利害関係者とそれぞれの経験を分かち合い、持続可能性の問題に対する知識を深めていく所存です。
Business
for Social Responsibility
Business for Social Responsibility(略称:BRS)は、社会環境問題に取り組む企業を支援する非営利団体です。私たちは、この団体と協力し、様々な国の工場責任者を対象に行われる指導や、業務提携の基準の実施に関連した主要問題の調査を推進してきました。
ベトナム・ビジネス・リンクス・イニシアチブ
プリンスオヴウェールズ・ビジネス・リーダーズ・フォーラムとベトナム商工会議所が共同で管理するベトナム・ビジネス・リンクス・イニシアチブは、履物工場の状況―特に、製造過程で使用される化学薬品の選択、保管、取り扱い、使用、廃棄―を改善する目的で設立されました。イニシアチブでは、履物業界全体に最良の習慣を浸透させるために、国内向けの工場や輸出工場の責任者を対象とした指導を行っています。adidasは2000年にプロジェクトの調整を手助けする技術アドバイザーを配属し、このプロジェクトを支援しています。また、英国政府の国際開発省他、スポーツウエア業界の2社と共にこのプロジェクトへの資金援助も行っています。
中国の厚生安全プロジェクト
2000年に創設されたこの協賛プロジェクトは、adidas他中国南部のスポーツウエア会社に製品供給を行っている履物工場を対象に、厚生や安全についての指導を行い、厚生安全委員会を設立しています。この指導は米国と中国によるマッカーサー基金が出資しHSEの専門家によって、労働者、管理者、NGOの代表者を対象に行われます。
サッカー業界プロジェクト
世界スポーツ用品産業連盟(WFSGI)によって、スポーツ業界(豊かな市場国に基盤を置く有名ブランドだけでなく途上国の製造業者も含め)一丸となった社会環境問題への取り組みが可能になりました。パキスタンでは、1997年にWFSGIがサッカーボールの縫製作業における未成年者の使用を段階的に廃止するプロジェクトに乗り出しました。プロジェクトは数多くの団体から支持され、効果を上げています。国際労働機関がフットボールの生産を監視し、Sudhaar
や Bunyadなど地元のNGOが、児童救助基金やUNICEFから援助を受け、地域での初等教育の強化に努めています。全国農村支援プログラムは貯蓄融資プログラムを通じ家族収入の不足補填に貢献しています。WFSGIは引き続きインドでも同様のプロジェクト設立に寄与しており、ここでもインドのスポーツ用品基金やUNICEF、児童救助基金、CRIDD等が教育プログラムを開設し、SGSが監視を行っています。プロジェクトの資金は、英国の国際開発省や米国の労働省から提供されています。
adidasはパキスタンとインドの両国からサッカーボールの部品買い付けを行っており、両国のプロジェクトを積極的に支援しています。
バイエルン州環境省との環境協力事業
このドイツでのプロジェクトは、中小規模の繊維・衣料品会社を対象に、環境面でその運営実績を向上させる実用的解決策の拡充を目指しています。本プロジェクトでは、バイエルン州環境省の指導の下、環境問題に取り組むための枠組み作りが行われ、繊維・衣料品産業に経験の深い環境コンサルタントが調整役となり、adidasは技術面で支援を行いました。
マニュアルは英語とドイツ語の二ヶ国語に翻訳されており、原材料調達から始まりライフサイクルを終えた後の衣料品の利用まで、サプライ・チェーン全体の環境的実態が浮き彫りにされています。本マニュアルは、操業中の工場サイトで一般的に発生している環境への影響改善という意味で、工場管理に対する実用的提言であり、またエネルギーや資源管理問題に関する助言でもあります。放出物や廃棄物の削減が本項の重要要素です。
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